专利摘要:
式:水溶性高分子−連結基−N末端−G’で表される水溶性高分子修飾G-CSF複合体又はその薬学的に許容される塩、その製造方法及びそれを含有する医薬組成物を提供する。なし
公开号:JP2011512336A
申请号:JP2010546197
申请日:2008-02-18
公开日:2011-04-21
发明作者:ジァン・タオ;スン・チャンアン;ワン・ヤリ;ワン・ルェイジュン
申请人:ジエンス ヘンルイ メデイシンカンパニー リミテッドJiangsu Hengrui Medicine Co.,Ltd.;
IPC主号:C07K14-53
专利说明:

[0001] 本発明は、式(I):水溶性高分子−連結基−N末端−G’で表される水溶性高分子修飾G-CSF複合体又はその薬学的に許容される塩、その製造方法及びそれを含有する医薬組成物に関する。]
背景技術

[0002] 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は単核細胞及び線維芽細胞により産生される。G-CSFは顆粒球を刺激してコロニーを形成させ、また好中球に対する刺激効果を有する。G-CSFは標的細胞の膜受容体と結合することにより、主に顆粒球の血球新生を活性化し、また多分化能造血幹細胞が細胞分裂周期に入るのを促進する;すなわち、G-CSFは骨髄造血前駆細胞の増殖、分化及び成熟化を促進し、また好中球を血液中へ遊離させる。それと同時に、G-CSFは末梢好中球数を増加させ、食作用や腫瘍細胞に対する抗体依存性細胞性細胞障害活性などの好中球機能を改善する(Metcalf, Blood 67:257 (1986); Yan et. al., Blood 84(3): 795-799 (1994);
Bensinger, et. al., Blood 81(11): 3158-3163 (1993); Neben, et. al., Blood
81(7): 1960-1967 (1993))。そのため遺伝子組換え型顆粒球コロニー刺激因子は、一般に、放射線療法又は化学療法を受けた癌患者や骨髄移植後の白血病患者に、アジュバント療法として使用される。]
[0003] 市場で一般に使用されるヒトG-CSFはノイポジェン(Neupogen)及びノイトロジン(Neutrogin)であり、ヒトG-CSF誘導体、すなわちNeu-wp. G-CSF誘導体又は変異体タンパク質も多数の文献に報告されている(米国特許第5581476号明細書、同第5214132号明細書、同第5362853号明細書、同第4904584号明細書など)。これらの変異体タンパク質には、より安定、より高活性で、さらに臨床用途に対してより適合したG-CSFを探索するために設計された複数のアミノ酸置換がある。]
[0004] 市販の遺伝子組換え型ヒトG-CSFは頻繁に注射することが必要で、生物学的利用率が低いこと、人体における半減期が短いこと、また生体内でプロテアーゼに脆弱であることのため、優れた臨床効果を得ることが難しい。薬物になるための治療用途を持つタンパク質の可能性は、ポリエチレングリコールにより修飾し、PEG−タンパク質複合体にすることにより非常に高まることが、研究により示されている。この種のペグ化タンパク質は、臨床診療において十分に適用されている(Katre, Advanced Drug Delivery Systems, 10:91 (1993)(非特許文献1); Inada, et al. J. Bioact and Compatible Polymers; 5:343 (1990) (非特許文献2)など)。ポリエチレングリコール修飾タンパク質複合体は優れた物理的並びに化学的安定性を有するのみならず、生体内でプロテアーゼに対する優れた抵抗性を有する。さらに、この複合体の分子量が増加するにつれて、この複合体の生体内半減期が延長する。生体内において抗体が産生される可能性が低く、また、元のタンパク質と比較して複合体の分布容積が低いので、毒性は低減され得る。]
[0005] PEG修飾G-CSFタンパク質又はPEG修飾G-CSF変異タンパク質は、欧州特許第0335423号明細書(特許文献1)、欧州第0401384号明細書(特許文献2)、米国特許第5824778号明細書(特許文献3)、米国第5985265号明細書(特許文献4)、国際公開第2000/44785号パンフレット(特許文献5)、国際公開第2001/051510号パンフレット(特許文献6)、米国特許第5824784号明細書(特許文献7)などの多数の文献に開示されている。特に、米国特許第5985265号明細書(特許文献4)に開示されるポリエチレングリコール修飾G-CSF複合体の中で、G-CSFのN末端で修飾された複合体が、生体外及び生体内のいずれでも最高の生物活性を有している。]
[0006] しかし、ポリエチレングリコール修飾がアシル化反応を経て行われる場合、アミノ基選択性は低いので、ポリエチレングリコールによるG-CSFの種々の位置(アミノ基)での修飾からは、通常混合物が得られる。分離と精製が必要であり、それぞれの単量体が低収率で得られるので、工業生産に応用することは困難である。]
[0007] 米国特許第5824784号明細書(特許文献7)では、G-CSFの修飾に大分子量のポリエチレングリコールアルデヒドが直接使用された。反応のpHを厳密に制御することにより、比較的特異的なN末端PEG修飾複合体を得ることができる。しかしながら高い選択性のある反応は、側鎖アミノ基とN末端アミノ基との間のpKaが異なることにより実現されることは否定できないが、生産スケールで制御することはきわめて難しい。さらに、各バッチの大分子量ポリエチレングリコールアルデヒド中のアルデヒド含有量は変動するので、高分子アルデヒドとタンパク質との間の供給比率を制御することは困難であり、反応収率と生産コストに間違いなく影響する。それと同時に、異なるアミノ基と結合した高分子アルデヒドにより製造される複合体の生物活性は異なるので、最終製品の均一性と活性にも影響が出る。]
[0008] 欧州特許第0335423号明細書
欧州第0401384号明細書
米国特許第5824778号明細書
米国第5985265号明細書
国際公開第2000/44785号パンフレット
国際公開第2001/051510号パンフレット
米国特許第5824784号明細書]
先行技術

[0009] Katre, Advanced Drug Delivery Systems, 10:91 (1993)
Inada, et al. J. Bioact and Compatible Polymers; 5:343 (1990)]
発明が解決しようとする課題

[0010] 先行技術の欠点を考慮して、本発明の目的は、新規構造である一般式(I)を持ち、水溶性高分子により修飾されたG-CSF複合体、又はその薬学的に許容される塩を提供することにある。本発明の他の目的は、一般式(I)の複合体又はその薬学的に許容される塩の製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、その複合体又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物及びその使用を提供することにある。]
課題を解決するための手段

[0011] 本発明は、一般式(I)で表される複合体又はその薬学的に許容される塩に関する。
水溶性高分子−連結基−N末端−G’ (I)
式中、水溶性高分子は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ乳酸、ポリアミノ酸などであり、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)である。PEGの分子量は2 KD(キロダルトン)〜100 KDから選ばれるが、好ましくはPEGの分子量は5 KD〜40 KDである。PEGは直鎖又は分岐型であってもよい。連結基は、水溶性高分子末端にある官能基とG’のN末端にある官能基との間の特異的な反応により形成される。
G’は、天然型G-CSF、遺伝子組換え型G-CSF又はG-CSFの機能を有する遺伝子変異産物であり、好ましくは、G’がSEQID No. 1〜10に示されたG-CSF誘導体であり、より好ましくは、G’が天然に存在するヒトG-CSFの配列又はSEQ ID No. 1に示されたMet-G-CSFである。]
[0012] 具体的には、一般式(I)で表される前記複合体又はその薬学的に許容される塩の化学構造は、一般式(II)で表される:




〔式中、
Rは、C1−4の直鎖又は分岐アルキル基から選ばれ、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基であり;
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又はC1−4の直鎖もしくは分岐アルキル基から選ばれ、好ましくは、R1及びR2は水素原子、メチル基またはエチル基であり;
Xは、O、S、NH、



又は



から選ばれ;
lは1〜20から選ばれる整数であり、好ましくは、lは1〜10から選ばれる整数であり、より好ましくは、lは1〜5から選ばれる整数であり;
mは50〜2500から選ばれる整数であり、好ましくは、mは100〜1000から選ばれる整数であり;
nは1〜20から選ばれる整数であり、好ましくは、nは1〜10から選ばれる整数であり、より好ましくは、nは1〜5から選ばれる整数であり;
G’は、天然型G-CSF、遺伝子組換え型G-CSF又はG-CSFの機能を有する遺伝子変異産物から選ばれる。〕]
[0013] さらに本発明は、一般式(I)及び(II)で表される前記複合体又はそれらの薬学的に許容される塩であって、G’は天然に存在するヒトG-CSF配列を持つ前記複合体又はそれらの薬学的に許容される塩に関する。
さらに本発明は、一般式(I)及び(II)で表される前記複合体又はそれらの薬学的に許容される塩であって、G’はMet-G-CSF(SEQID No.1)である前記複合体又はそれらの薬学的に許容される塩に関する。]
[0014] 一般式(I)及び(II)で表される前記複合体は、



〔式中、mは400〜500から選ばれる整数〕
及び、



〔式中、mは400〜500から選ばれる整数〕
を含む。]
[0015] さらに、一般式(I)及び(II)で表される前記複合体は、酸と反応して塩を形成することができる。使用される酸は有機酸及び無機酸から選ばれ、有機酸は、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、マレイン酸、p‐トルエンスルホン酸及びこれらの混合物から選ばれる。好ましくは、有機酸は、酢酸又はトリフルオロ酢酸である。無機酸は、塩酸、硫酸、リン酸及びスルホン酸並びにこれらの混合物から選ばれる。好ましくは、無機酸は塩酸である。]
[0016] 一方で、本発明は、一般式(I)及び(II)で表される前記複合体の製造方法を提供し、該製造方法は以下のステップを含む:
1)一般式(III)で表される化合物を、還元的アミノ化によりG’のN末端アミノ基と反応させ、一般式(IV)で表される化合物を得るステップ:




2)一般式(IV)で表される化合物からチオール基の保護基を除去し、一般式(V)で表される化合物を得るステップ:



3)一般式(V)で表される化合物を、マイケル付加によりmPEG-MALと反応させ、一般式(II)で表される複合体を得るステップ:



〔式中、
R、R1、R2、G’、X、l、m及びnは、上記の通りに定義される;
Zは、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、トリチル基及びtert‐ブチル基から選ばれるメルカプト保護基であり、好ましくは、Zはアセチル基である。〕。]
[0017] また本発明は、放射線療法又は化学療法に起因する白血球減少症、AIDS(後天性免疫不全症候群)及びその他の免疫不全症である細菌感染を治療する薬物の製造における、本発明により提供される前記複合体又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。
他方で、本発明は、本発明により提供される前記複合体又はその薬学的に許容される塩の薬学的な有効量、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
さらに本発明は、放射線療法又は化学療法に起因する白血球減少症、AIDS(後天性免疫不全症候群)及びその他の免疫不全症である細菌感染を治療する薬物の製造における、前記医薬組成物の使用に関する。]
[0018] 本発明は、新規のPEG修飾G-CSF複合体、及び新規のその製造方法を開示する。従来の複合体及びその製造方法と比較して下記の相違がある:
第一に、PEGとG-CSFとの間に連結基を導入することにより、このタンパク質のN末端における反応特異性が確保される。これは、N末端で小分子により修飾されたタンパク質は容易に分離及び精製することができ、修飾部位の特異性を確保できるためである;
第二に、連結基にチオール基が存在するため、反応系のpHを制御することにより、実行すべき高い特異性を持ったマイケル付加反応が確保される;
さらに、連結基が存在するため、イミド基又はエステル基の導入など、他の官能基も結合させることができ、生体内で複合体からG-CSFが遊離する前提条件を備えることができる。
本発明の複合体又はその薬学的に許容される塩は、天然型ヒトG-CSFの生理活性を有し、かつ生体内でのより長い循環半減期、及びG-CSFより優れた顆粒球コロニー刺激因子活性を有する。]
[0019] 具体的には、本発明により開示される複合体の構造は式(II)として表される:



〔式中、
Rは、C1−4の直鎖又は分岐アルキル基から選ばれ、好ましくは、Rはメチル基又はエチル基であり、より好ましくは、Rはメチル基であり;
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又はC1−4の直鎖もしくは分岐アルキル基から選ばれ、好ましくは、R1及びR2は水素原子、メチル基又はエチル基であり;
Xは、O、S、NH、



又は



から選ばれ;
lは1〜20から選ばれる整数であり、好ましくは、lは1〜10から選ばれる整数であり、より好ましくは、lは1〜5から選ばれる整数であり;
mは50〜2500から選ばれる整数であり、好ましくは、mは100〜1000から選ばれる整数であり;
nは1〜20から選ばれる整数であり、好ましくは、nは1〜5から選ばれる整数であり;
G’は、天然型G-CSF、遺伝子組換え型G-CSF又はG-CSFの機能を有する遺伝子変異産物から選ばれる。〕]
[0020] XがO又はSである場合、PEGとG-CSFとの間の連結基には、生体内でエステラーゼによる加水分解を受けやすいエステル結合が存在する。この時、遊離型のG-CSFが、その受容体と相互作用し生物活性を示す;
XがNH、



又は



である場合、生物活性は主に複合体自体により得られる。もちろん、イミド結合も、生体内での加水分解によりG-CSFを遊離する能力を持つので、遊離G-CSFが作用する可能性は排除されない。]
[0021] 本発明により開示される製造方法において、まずチオール基を含む連結基がG-CSFのN末端アミノ基と還元的アミノ化により反応して、中間体(IV)が得られる。実際、連結基とG-CSFのアミノ基とは、さまざまな反応法(さまざまな活性化エステルとアミノ基との反応など)により結合させることができる。しかし、アルデヒド基とN末端アミノ基との間の反応は高度に選択的であることを考慮し、本発明では、還元的アミノ化によりアルデヒド基をN末端アミノ基と反応させて、リンカーを導入している。本発明において使用する還元剤は、当該技術分野で周知のさまざまな還元剤から選ばれる。好ましくは、還元剤は、シアノ水素化ホウ素ナトリウム又はトリアセトキシホウ化水素である。]
[0022] 中間体(V)の製造において、チオール保護基が異なるに従って、異なる反応条件が選択される。保護基がトリチル基又はtert‐ブチル基である場合、保護基を除去するためには酸性条件(トリフルオロ酢酸、塩酸、メタンスルホン酸など)が用いられる。保護基がアセチル基、プロピオニル基などの場合、保護基を除去するためには、当業者に周知のさまざまな方法及び試薬が用いられるが、好ましくは、ヒドロキシルアミン塩酸塩を用い、pH 5〜7で保護基を除去する。]
[0023] 一般式(II)の化合物の製造においては、反応は、pHを制御しながら古典的マイケル付加を用いて行われる。当該反応は、99%以上に達する優れた選択性を有する。反応後、反応生成物は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)、イオン交換カラム又はゲルカラムにより分離及び精製することができる。]
[0024] 本発明において「C1−4アルキル基」は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などの直鎖又は分岐アルキル基を指す。
本発明においてG-CSFは、好ましくはヒトG-CSFから選ばれる。このタンパク質の内部配列に変異が存在しなければ、このタンパク質の生体内における抗原性を減少させることができ、また、生体内における中和抗体の生成を最大限に減少させ、薬物の有効性を高めることができる。G-CSF及びその変異タンパク質は、文献に報告されている従来の遺伝子発現法を使用することにより得ることができる。当該G-CSF及びその変異タンパク質は、Met-G-CSF、Trp-G-CSF、Asp-G-CSF及びGlu-G-CSFを含み、好ましくはE. coli.(大腸菌)により発現されるMet-G-CSF(この配列についてはSEQID No. 1を参照)を含むが、これらに限定されない。]
発明の効果

[0025] 本発明により得られる化合物は、投与量単位で投与される。この投与量単位は、活性化合物と医薬品賦形剤を混合した製剤型の医薬組成物として適切に表される。
本発明により提供される医薬組成物において、一般式(I)及び(II)又はそれらの薬学的に許容される塩が活性化合物である。本発明により提供される医薬組成物は、化学療法又は放射線療法を受けた癌患者や、骨髄移植後を受けた白血病患者に対して、免疫力低下による感染を防ぐためのアジュバント療法として使用される。またこの医薬組成物は、慢性又は相対的白血球減少症の患者の治療、急性骨髄性白血病患者の治療、AIDS又はその他の免疫不全症、及び真菌、特に全身性又は侵襲性カンジダ症による感染の治療に対して使用することができる。]
[0026] 一般式(I)及び(II)で表される複合体又はそれらの薬学的に許容される塩の投与量は、5〜500
μg / kgである。ここで、「μg」は一般式(I)もしくは(II)で表される複合体又はそれらの薬学的に許容される塩の単位を指し、「kg」は哺乳類の体重の単位を指す。投与量と投与頻度は、患者の性別や年齢、患者における予防又は治療の必要な疾患の種類などの多くの要因に依存することが知られている。
本発明により提供される前記複合体又はそれらの薬学的に許容される塩を、従来型の医薬担体と混合することにより、さまざまな製剤型を調製することができる。この製剤型は、皮下、筋肉内、又は静脈内投与などの異なる方法により投与することができる。]
図面の簡単な説明

[0027] 本発明により提供される化合物1のMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)-TOF(飛行時間)-TOFダイアグラムを示す図である。
本発明により提供される化合物2のMALDI-TOF-TOFダイアグラムを示す図である。
シクロホスファミド処理マウスの末梢血白血球数に対するPEG-G-CSF及びG-CSFの効果を示す図である。
シクロホスファミド処理マウスの末梢血赤血球数に対するPEG-G-CSF及びG-CSFの効果を示す図である。
シクロホスファミド処理マウスの末梢血血小板数に対するPEG-G-CSF及びG-CSFの効果を示す図である。]
[0028] 本発明をより詳細に記述するため、下記の実施例が提供される。しかしながら、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。]
[0029] Met-G-CSFの還元的アミノ化
Met-G-CSF
(pH=5.0) :
40 mg / 140
ml



: 7.0
mg
シアノ水素化ホウ素ナトリウム:
176 mg]
[0030] Met-G-CSFの最初の溶液は、0.1 M酢酸/酢酸ナトリウムに対して透析し、これから、40 mgのタンパク質を含む140 mLの溶液を採取した。小分子アルデヒド(7.0 mg)を採取し、アセトニトリル(300 mL)に溶解し、これをタンパク質溶液中に加えた後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(176 mg)をその中に加え、撹拌しながら室温で3時間反応を行った。
この反応溶液を、2
mMEDTAを含む0.1 MPBS(リン酸緩衝食塩水)に対し、4℃で透析した。]
[0031] チオール基‐アセチル基における保護基の脱保護
0.1 Mヒドロキシルアミン塩酸塩(pH = 6.3)10 mLを、実施例1で調製したタンパク質溶液に添加し、ヒドロキシルアミン塩酸塩の濃度を50
mMとした。反応は、撹拌しながら室温で30分間行い、アセチル基を除去することによりチオール基を遊離させた。]
[0032] mPEG-Met-G-CSF(39 KD)の製造
mPEG-MAL(400 mg、20
KD)を、実施例2で調製したタンパク質溶液に添加し、撹拌しながら室温で60分間反応を行った。精製は、HPLC検査により反応が終了したことが示された後に行った。得られた化合物は本発明の化合物1であった。その構造は、図1に示されるようにMALDI-TOF-TOFにより確認された。] 図1
[0033] 検査条件:
カラム: Jupiter C4、5 μ、300 Å、150×4.6 mm
移動相: A:0.05%トリフルオロ酢酸/水
B:0.05%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル
グラジエント条件:
0’ 30’ 35’ 36’
A 60% 20% 20% 60%
B 40% 80% 80% 40%
精製条件:カラム(1.6×12 cm、容積約24 mL、流速:4
mL / min)は、SP Sepharose HPで充填した。
カラムの前処理:カラムを、カラム容量の5倍容量の0.5 M水酸化ナトリウム溶液で洗浄した後、中性pHになるまで精製水で洗浄した。最終的に、カラムは20 mM酢酸/酢酸ナトリウム(pH 4.0)で平衡化した。平衡化に使用した容量は、カラム容量の5倍であった。
試料の添加:脱塩した試料は、ポンプを用いてカラムに直接添加した。
溶出:最初に、過剰のPEGを除去するため、カラムをカラム容量の10倍容量の20 mM酢酸/酢酸ナトリウム(pH 4.0)で溶出した。次いで、0〜50%の塩グラジエントを、4 mL / minで、実行時間を50分間として設定した。不純物、生成物及び未反応タンパク質が順に溶出され、これらを採取した。]
[0034] mPEG-Met-G-CSF(59 KD)の製造
製造方法と精製法は実施例3と同一であるが、mPEG-MAL(400 mg、20
KD)をmPEG-MAL(800 mg、40 KD)と置き換えた。得られた化合物は、本発明の化合物2であり、そのMALDI-TOF-TOFは図2に示される。] 図2
[0035] mPEG-Met-G-CSF(39 KD)すなわち化合物1の注射剤の製造
酢酸ナトリウム: 0.12 g
ポリソルベート20 : 35 mg
ソルビトール: 50 g
化合物1 : 10 g
製造用無菌室で、酢酸ナトリウム(0.12 g)、ポリソルベート20(35 mg)及びソルビトール(50 g)を秤量し、注射用水(1000 mL)に撹拌しながら溶解した。そこへ化合物1(10 g)を加え、撹拌して均一とし、注射用水を加えて最終容積を3000 mLとした。この溶液を0.22 mmの微多孔膜でろ過した後、詰めて滅菌栓をしてキャップした。]
[0036] 末梢血白血球数の増加についてのPEG-G-CSFとG-CSFとの効力比較
注記:PEG-G-CSFは本発明の化合物1を指す。
1.試験の目的
シクロホスファミドで処理したマウスの末梢血白血球数の増加について、PEG-G-CSFとG-CSFとの効力を評価し、比較することである。]
[0037] 2.材料と方法
PEG-G-CSF、G-CSF及びシクロホスファミド(CTX)はジエンス ハンセンファーマセウティカルカンパニーリミテッドより提供され、使用前に生理食塩水で希釈した。
体重18〜22 gの雌性昆明マウスは中国科学アカデミー上海実験動物センターより購入し、各群10匹とした。
マウスを環境に適合させた後、シクロホスファミドを腹腔内投与し、その翌日、PEG-G-CSF及びG-CSFを皮下注した。PEG-G-CSFは、0.5又は1.0
mg / kgで1回皮下投与した。G-CSFは、1日に1回、0.1又は0.2 mg / kgの投与量で、4日間連続して皮下投与した。投与後、頸椎脱臼によりマウスを屠殺し、血液細胞はABC自動血球計数器により数えた。]
[0038] 3.結果
CTXの腹腔内投与により、末梢血白血球数、末梢血赤血球数及び血小板数は著しく減少し(対照との比較で平均P <0.01、図3〜5)、CTXが骨髄の強力な阻害剤であることが示された。
シクロホスファミド処理したマウスにPEG-G-CSFを単回皮下注することにより、末梢血白血球数が増加した。0.5 mg /
kgを投与すると、白血球数は正常値に戻った。1.0 mg / kgを投与すると、末梢血白血球数は正常値よりもさらに高まった(対照との比較でP <0.01、図3)。しかしながらPEG-G-CSFは、末梢血赤血球数及び血小板数に関して明確な増加作用を持たず(図4及び5)、PEG-G-CSFの効果は特異的であることが示された。
シクロホスファミド処理したマウスに、G-CSFを連続的に皮下注することによっても、末梢血白血球数が増加した。0.1 mg / kgを投与すると、白血球数は正常値まで増加した。0.2 mg / kgwを投与すると、血白血球数は正常値よりもさらに高まった(対照との比較でP <0.01、図3)。しかしG-CSFは、末梢血赤血球数及び血小板数には顕著な作用を及ぼさなかった(図4及び5)。
これらの結果によれば、PEG-G-CSFとG-CSFとの投与総量が等しい場合には、単回皮下注したPEG-G-CSFと連続皮下注したG-CSFとは、マウスの末梢血白血球数に関して同等の効果を有した。] 図3 図4 図5
実施例

[0039] 4.結論
PEG-G-CSF及びG-CSFは、いずれとも、シクロホスファミド処理したマウス末梢血白血球数を顕著に増加させる。投与総量が等しい場合には、単回皮下注した本発明の化合物1と連続皮下注したG-CSFとは、マウスの末梢血白血球数に関して同等の効果を有する。]
权利要求:

請求項1
一般式(I):水溶性高分子−連結基−N末端−G’ (I)〔式中、水溶性高分子は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ乳酸又はポリアミノ酸であり;連結基は、水溶性高分子末端にある官能基と、タンパク質G’のN末端に導入された官能基との間の特異的な反応により形成され;G’は、天然型G-CSF、遺伝子組換え型G-CSF又はG-CSFの機能を有する遺伝子変異産物である。〕で表される複合体又はその薬学的に許容される塩。
請求項2
前記水溶性高分子が、分子量2 KD〜100 KD、好ましくは5KD〜40 KDであり、直鎖又は分岐型のポリエチレングリコールである、請求項1に記載の複合体又はその薬学的に許容される塩。
請求項3
一般式(I)で表される複合体の前記化学構造は、一般式(II):〔式中、RはC1−4の直鎖又は分岐アルキル基から選ばれ、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基であり;R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又はC1−4の直鎖もしくは分岐アルキル基から選ばれ、好ましくは、水素原子、メチル基またはエチル基であり;Xは、O、S、NH、又はから選ばれ;lは、1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5から選ばれる整数であり;mは、50〜2500、好ましくは100〜1000から選ばれる整数であり;nは、1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5から選ばれる整数であり;G’は、天然型G-CSF、遺伝子組換え型G-CSF又はG-CSFの機能を有する遺伝子変異産物から選ばれる。〕で表される、請求項1に記載の複合体又はその薬学的に許容される塩。
請求項4
G’が、SEQID No. 1〜10に示されるタンパク質のG-CSF誘導体から選ばれる、請求項1に記載の複合体又はその薬学的に許容される塩。
請求項5
前記G’の配列が、天然に存在するヒトG-CSFの配列である、請求項1又は3に記載の複合体又はその薬学的に許容される塩。
請求項6
前記G’の配列が、SEQID No. 1に示されるMet-G-CSFである、請求項1又は3に記載の複合体又はその薬学的に許容される塩。
請求項7
前記複合体が、〔式中、mは400〜500から選ばれる整数〕及び、〔式中、mは400〜500から選ばれる整数〕を含む、請求項1又は3に記載の複合体又はその薬学的に許容される塩。
請求項8
前記複合体が、酸と反応して塩を形成し、前記酸が有機酸及び無機酸から選ばれる、請求項1又は3に記載の複合体又はその薬学的に許容される塩。
請求項9
前記有機酸が、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、マレイン酸、p‐トルエンスルホン酸及びこれらの混合物から選ばれ、好ましくは、酢酸及びトリフルオロ酢酸から選ばれ;前記無機酸が、塩酸、硫酸、リン酸及びメタンスルホン酸並びにこれらの混合物から選ばれ、好ましくは塩酸である、請求項8に記載の複合体又はその薬学的に許容される塩。
請求項10
請求項1又は3に記載の複合体の製造方法であって、該製造方法が下記のステップを含む製造方法:1)一般式(III)で表される化合物を、還元的アミノ化によりG’のN末端アミノ基と反応させ、一般式(IV)で表される化合物を得るステップ:2)一般式(IV)で表される化合物からメルカプト保護基を除去し、一般式(V)で表される化合物を得るステップ:3)一般式(V)で表される化合物を、マイケル付加反応によりmPEG-MALと反応させ、化合物(II)を得るステップ:〔式中、R、R1、R2、G’、X、l、m及びnは、請求項3において定義される;Zは、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、トリチル基及びtert‐ブチル基から選ばれるメルカプト保護基であり、好ましくはアセチル基である。〕。
請求項11
放射線療法又は化学療法に起因する白血球減少症、AIDS及びその他の免疫不全症である細菌感染を治療する薬物の製造における、請求項1又は3に記載の複合体又はその薬学的に許容される塩の使用。
請求項12
請求項1又は3に記載の複合体又はその薬学的に許容される塩の薬学的な有効量、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
請求項13
放射線療法又は化学療法に起因する白血球減少症、AIDS及びその他の免疫不全症である細菌感染を治療する薬物の製造における、請求項12に記載の医薬組成物の使用。
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